【オジいさん 読了】最初の後悔はいずこへ…ほっこりくすっと笑っちゃう結末。
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こんばんわ。今日は一歩も外へ出ず、過ごしております。
そんな中、謎だらけの文庫本【オジいさん】を読み終えたので感想。
- オジいさんの思考回路に負けかける
- 私もこんな風になるのかな
【オジいさんの1週間を描いただけのお話…でも!】
正直言って最初は読み進めるのがつらかった…
お爺さんのうんぬんかんぬんな思考がツラツラと書かれているだけなのです。
地デジに変えるかどうか、
お湯が沸くのを待てるほど暇を持て余している、とか
カセットテープはいちいち分別されて捨てられているのか否か、とか
本当にどうでもいいことばっかり考えているんだもん!
特に、主人公のオジイサンの家に出入りする電気屋さんが地デジ放送のための工事にやってくるシーンが多く書かれているのです。
時代の変遷に乗るか、反るかの狭間で揺れる高齢者の思考を象徴しています。
🐣もういいよ、おじいさん。ちゃっちゃと地デジに変えちゃいなよ。
何度、ひとりごとをつぶやいたことでしょう。
あまりにもどうでもいいことばっかり考えているから、
安眠効果は抜群。
読み始めると10分で私は夢の中へ~…
安眠したい方は是非お勧めです。
72歳のお爺さんの1週間が1日ごとに分かれて綴られていますが、
3日めまではホントに
この本を購入したことを後悔しておりました。
🐣つまらんものを…買ってしまった(泣
しかし、ここはドケチ根性がむくむくと湧き上がってきます。
自分で買ったからには、最後まで読んでやる!
途中でやめたら負けた気がするから…(誰に?)
【4日目を過ぎた頃には…オジいさんの味方に】
4~5日目の項に進むころには、
オジいさんのツラツラ思考の側に回っている自分が現れました。
夜逃げした商店の店主の様子を回想するオジいサンには、
🐣そうね…昔夜逃げした商店の店主のこととか思いぢちゃうよね。
忘れてあげればいいんだけど、そういうことほど覚えてたりするのよね。
と共感し、
出入りする町の電気屋が、当たり前のように押し売り的なセールストークをしてくると、
🐣ちょっと…セールストークが強引じゃない?
🐣確かに地デジってホントに必要だったんだろうか…
なんて、思考がオジいさん寄りになってしまうのです。
最後、若い電気屋店主の仲人を頼まれた時は、
🐣やったね!オジいさん。大役じゃん!
と、つい喜んでしまいました(笑)
これも、京極夏彦氏の徹底したオジいサンのキャラクター設定があり、
その複雑な心境が、短文で繰り返し表現されているからだと思います。
1文1文がとても短いので、読み易い。故に、主人公に感情移入しやすくなったと思われます。
【読み終えて思う、自分の壮年期】
今や、72歳は高齢者といえるのだろうか…?
現実世界を見渡してみると、
自分と一緒に働き、遊び、30代の私たちを変わらない生活をしている人もいます。
決して珍しくはありません。
私の知り合いの70代の女性は、足しげく宝塚劇場に足を運びますし、
介護の仕事に就いている方もいます。
この本の主人公のように、70代の方々は、
いちいち思考を言葉にはしないけれど、
何かあるごとに、深く静かに思考を巡らせているのだ、と気づかされました。
70代ってお爺さんではないのです。
オジいさん、それが主人公を表す最も適した表現。
私も、70代になったころには、
町の電気屋さんにお世話になったり、
老人会へ入るかどうか悩んだり、
色々と思考を巡らしながら、
じっと黙って世の中の変化を見つめているのでしょうか。
それもいいかも。
そう思わせてくれる、温かみのある物語でした。
読んでよかった♪
終わり