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30代女の独身生活ブログ

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【出会い系サイトで70人と実際に合ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと】を読み終えた感想。


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先日、HIBIYA COTTAGEという本屋さんに立ち寄り、
【出会い系サイトで70人と実際に合ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと】を購入しました。
本書を読んだ感想を綴ります。

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率直な感想

面白い! ぜひ、30代の女性には読んでいただきたい!

本書の内容を一言で申し上げると、
どん底女の復活ストーリー】です。
私が最も好むタイプのストーリーです。


著者・花田奈々子さんが夫との別居生活が始まり、
寝泊りする場所もないような状況から、
自分の好きなことを追求し続け、
自分らしく生きる道を見つけるまでのお話を綴った青春実録的私小説です。

WOWOWのオリジナルドラマにもなっているようです。
瀧本美織さんが、花田菜々子さんを演じられています。

正直、内容には期待しておりませんでしたが…
実際読んでみると、
あれよあれよと間に、花田菜々子さんの心と生活の変化に引き込まれていきました。

あらすじ

主人公は菜々子。33歳。
職業はビレッジヴァンガードの書店員。
菜々子は夫と別居中で、ファミレスと銭湯とネットカフェを渡り歩く、
どん底人生を送っているところからストーリーが始まります。


ある日菜々子は、「X」という奇妙な出会い系サイトに出会います。
ー知らない人と30分だけ会って話してみるー
この「X」と出会いによって菜々子の人生は、大きく変わっていくのです。

菜々子は「X」を通じて初対面の人にオススメの本を紹介する活動を始めます。
もともと、書店員である菜々子は「人に本をすすめること」に対し、
やりがいと夢を持っていたので、
夢中になって出会い系サイトで人に会い、本をすすめ続けるのです。

菜々子自身は、会社内でのなれ合いの愚痴にうんざりしながらも、
今の会社を辞めて、自分が他にできることなんてない」という
矛盾だらけの思いを抱えていた毎日を過ごしていました。


「出会い系サイト X で会った人に本をすすめる活動」は徐々に輪を広げ、
菜々子は、会社の外の世界との繋がりを濃くしていくのです。

SNSの世界へ足を踏み入れた菜々子、私は?

出会い系サイトで人と知り合い本を紹介する活動を行う上で、
欠かせないツールはSNS
菜々子の「本紹介活動」に宣伝や情報発信のためには、
SNSを活用するのが効率的であったため、
菜々子は、意を決してSNSの世界に飛び込みます


SNSと縁遠い生活を送っており、SNSを敬遠してきた菜々子にとって、
このマインドチェンジは、かなり思い切った一歩だったのでは
と想像できます。

というのも、この私も菜々子と同じようにSNSを敬遠しております。
SNSが怖いのです。

実社会でも心を閉ざしがちな私ですので、SNSはハードルが高すぎるのです。
かろうじてTwitterが精いっぱい、といった感じです。


昨今は【SNSのフォロワー数=自分の信用度】という考え方があるようです。
私には、なんとも馴染めない価値観です。


もし、私が菜々子のような状況になったら…できるかしら?
怖いなぁ…
私がSNSに抵抗感を感じる理由は、話す相手の表情が見えないから。


私のつたない発信で「見えない誰か」に嫌な思いをさせてしまったら…
なんて思ってしまうのです。
だから、どうしても「発信」ができない…。


SNSに対して、相当なストレスを感じる私ですから、
「まぁ、無理してSNSにどっぷりつからなくても良いか…」とも思います。


いつか、私に菜々子さんのような人生を揺るがす出来事が起きた時や、
自分にものすごい活動力とエネルギーが生まれた時は、
意外とあっさり、すんなりSNSの世界に入っていけるかも知れないし、
また違うのツールが見つかるかもしれないしな、と思うにとどめました。

誰もが悩む【仕事×お金×好きなこと】

菜々子は【仕事×お金×好きなこと】について、
とことん追求していきます。


菜々子自身は「本をすすめることが好きだ」と
しっかり自覚しているにもかかわらず、
それを仕事として生かす場所に居られず、
好きなことをおカネと仕事につなげる方法を見つけられずに、もがいています。


おカネのために、好きなことを諦めるのか。
好きなことのために、仕事を妥協するのか。

永遠のテーマではないでしょうか。
私もそう思っています。
私も「薬剤師業務」は好きだけど、
お給料の伸びは全く期待できないことへのジレンマがあります。


「仕事のやりがいはお金だけじゃない、患者さんが治ってくれれば充分です」なんて奉仕の気持ちだけでは、仕事を続けることは不可能です。
やっぱり、仕事で成果を出したら対価が欲しいよ!
それが本音です。


私自身は「管理職」になることで、
「責任」と共に「ある程度の決定権」を得ています。
この「ある程度の決定権」と持つことによって、
「好きなこと×お金の葛藤」に気持ちの折り合いをつけています。


常識の範囲内であれば、自分のやりたい仕事に注力できています。
私にとって、学校薬剤師はそのひとつの例です。
以前から、
私は「学校薬剤師になって、子どものお薬教育に携わりたい」と思っていました。
転職し、管理薬剤師になり、店舗収益増の実績を作り、
社長へ「学校薬剤師をやらせてほしい」とお願いしたのです。
希望通りにやらせていただけていて、感謝しています。


規模が小さめの会社に転職したのもそのためです。
経営者と社員の距離が近いので、
経営者に自分の思いを伝えやすい環境なのです。


今の私は「仕事×お金×好きなこと」のバランスが
取れている
ように感じています。
そう思えるようになるまでに、
私自身も色々回り道してきたなぁと思い出しました。

男性との距離の保ち方

菜々子がXで出会った、ある男性とのエピソードが印象的でした。
異性との距離感をはき違えた男性・藤沢さん

「X」を通じて菜々子と会い、映画を一緒に見て飲んで、
菜々子が本を紹介しただけの男性。

しかし、この藤沢さん…なんとも困った男性でした。
菜々子を主人公とした小説を書いたので、
菜々子自身にに読んでもらえないか?と菜々子に頼んできたのです。

その小説は、ワードファイル90ページ分のポルノ小説だった。(中略)私は、怒り・嫌悪・失望を感じ
「なぜ本を紹介しただけでこんな目に遭うのか」とやるせなさと、
「なんでこれを送って許されると思ったんだろう」
と言う疑問が繰り返し浮かんで頭がいっぱいになった
本文より


わかる!分かります!
そういう人、いるんですよ…

一緒に食事をしただけなのに、なんで馴れ馴れしく呼び捨てなの?!
とか、思うことが私にもあるのです。

本当に嫌な気持ちになりますね。


見下されているんでしょうか?
好意と受け取るべきなのでしょうか?(だとしたら、甚だ困惑するしかない)

私もかつて、謎の「お詫びのラブレター」をもらったことがあり、
非常に返事に困った経験があります。

yume-diver.hatenablog.com


悲しいのは、こういう謎の行為のおかげで、
せっかくの友人の関係が崩れてしまうことです。


こちらが「楽しく食事をする仲」だと思っていたら、
私の気持ちもお構いなしに、勝手に恋愛対象のように思われてしまった。
そうなると、「お断り」するしかなくなっちゃうじゃないですか。

しかも長々と手紙や小説にして送ってきたりして…
こちらも警戒してしまいます。
心の準備もないままに、
自分の気持ちだけを押し付けられるのは悲しいです。

結局、菜々子はこの遠藤さんとの連絡を絶ちます。
菜々子はそんなヘンテコ男性にエネルギーを消耗しながらも、
「X」で人と会い、
本をすすめる活動を続けるのです。

まぁ、好きなことをこんなことで諦めるわけないですね。
ちょっと困ったヘンテコエピソードも面白かったです。

ある普遍的な問題

菜々子は本紹介の活動を続けていく中で、
自ら会いたい人に会いに行くようになります。
最初は「X」と通じた、受け身の出会いでしたが、
徐々に能動的に出会うようになるのです。


菜々子自ら出向いて会ったのは、京都にあるガケ書房の店主・山下さん。
尊敬する山下さんと本について、心のままに語り終えた夜。

菜々子は、心から満足感と充実感を味わうのです。


そして菜々子は、ひとつのことに気づきます。

私が突き付けられているような気がしていた普遍的な問題
ー例えば「独身と結婚しているのとどちらがいいか?」、
「仕事と家庭のどちらを優先すべきか?」
「子どもを持つべきか持たないべきか?」
そもそもの問いが私の人生の重要な議題とズレていたのだ
本文より引用

そうですね。
その感覚とてもよく分かります。

私の将来の夢の中に、「結婚」というイベントは全く入ってきません。


「薬局を自分で開業してみたいな」とか、
ガラパゴス諸島でダイビングしてみたいな」とか
そういう夢や妄想は毎日毎日膨らんでいます。


しかし、
「結婚式は教会で上げて…ドレスはこれを着て…そのあとは子供を産んで…」
とは、全く思わないのです。

決して「結婚や子どもを持つこと」に否定的なのではありません。
私にその選択肢はないな」と思うだけのことです。

菜々子さんと同じように、「結婚、子ども、家庭」は
私の人生における重要な議題ではないのです。


あぁ、そう思っているのは私だけじゃないんだ、と
ほっとした感覚になりました。

最後に

あまりに自分の想いとリンクするエピソードが多く書かれていて、
(もちろん、菜々子さんの方がインパクトと独創性が大きいですが)
夢中になって読み終えてしましました。


そして、驚いたことをひとつ。

なんと、この花田菜々子さんは
HIBIYA COTTAGEの店長さんだったのです!
私がこの本を買った書店です。

えー!そうだったの?!
もしかしたら、あの日、あの場所ですれ違っていたかも知れないの?
【出会い系サイトで70人と実際に合ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと】を
読み終えた今、私は菜々子さんに聞いてみたいことがたくさんあります。

がむしゃらに夢中になって「好きなこと」を突き詰めていたら、
人生の扉が開く瞬間に出会える希望を与えてくれたのですから。

私が花田さんに実際にお会いできるわけないですし、
お礼を伝えるなんて現実にはあり得ないのですが…


そんな気持ちを抱いて、またHIBIYA COTTAGEに伺おうと思います。
とっても個性的で居心地の良い本屋さんでしたから。
次にHIBIYA COTTAGEへお伺いする日がさらに楽しみに感じています。


菜々子さんを思い浮かべて、書店内をグルグル散策し、
お気に入りの本を探そうと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。