【犬がいた季節】の感想。青春の輝きを思い出してほっこりできる作品でした。
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2021年本屋大賞ノミネート作、【犬がいた季節】を読み終えての感想です。
率直な感想
爽やか。輝ける青春って素敵!ですね。
最後まで読んでみると、爽やかに悩んでいた高校生が大人になって、社会人になってからの悩みや葛藤まで描かれています。
ですから、大人になった私たちにも心を動かされる感覚がありました。
あらすじ
主人公は迷い犬。
幼い時に飼い主に捨てられてしまい、とある公立高校に迷い込んでしまいます。
そこでコーシローを名付けられ、高校で飼われることになります。
様々な生徒たちが入学し、コーシローの世話をして3年間を過ごす。
そして、また卒業していく…
進路に悩む生徒、家族関係に悩む生徒、恋する生徒…
様々な生徒の悩みや葛藤も描かれています。
単に青春の甘酸っぱさだけを描いた作品ではなく、
犬のコーシローの目線(思い)も織り交ぜて描かれている点に新鮮さを感じました。
コーシロー目線が印象的
登場する生徒たちの思考は手に取るように分かりやすいです。
好きな人に告白できなかったり、
希望する進路に進めず落ち込んだり、新たな目標を見つけたり。
読んでいて、本当に懐かしい気持ちになりました。
中でも面白かったのは、
コーシローは人の恋の匂いをかぎ分けることができるというエピソード。
もし、コーシローが自分の高校時代にも居てくれたら…
あの恋は成就したんだろうか?
それとも、不完全燃焼にならずに済んだのだろうか?
なんて思ってしまいます。
コーシロー、私の恋はうまくいくかしら?
あの人は私に恋の匂いを発しているかしら?
なんて聞いてみたくなります。
コーシローはあまりはっきりと目が見えません。
(犬本来の特徴のようです)
そのため、生徒の違いや季節の移り変わりを匂いで判別しているのです。
桜の香りがしてくると、コーシロー会(コーシローのお世話をする生徒たちのこと)のメンバーが入れ替わることも認識しています。
桜の香りは、コーシローに別れ(卒業)と出会い(入学)をもたらしてくれます。
生徒たちのお悩みストーリーの中に、コーシロー目線で描かれるエピソードが盛り込まれており、今で読んだ青春小説とはちょっと違った印象を受けます。
最も癒された作品
今回の本屋大賞ノミネート作の中で、
本作は最も温かみのある作品だったと思います。ほっこり、と言う感じ。
他の作品は絶望を描く傾向が強かったので、
本作にはとても救われました。
本屋大賞ノミネート作品はどれも読み易く、
感情移入しやすい作品が多いですね。
おかげさまで楽しい読書ライフを送ることができています。
何かいい本ないかなぁ…と思ったら、
まずは「本屋大賞ノミネート作」を読んでみることをお勧めします。