学校薬剤師のお仕事紹介。お仕事の内容は?地味だけど、地域の安全を守る縁の下の力持ちなのです。
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こんばんわ。
明日は【学校薬剤師】のお仕事です。
ほとんど世の中では周知されていないお仕事なのです。
公立の小学校・中学校・高校にはこの学校薬剤師の配置が義務付けられているのです。
- お仕事の内容
- 母校の学校薬剤師になる
- 新型コロナウィルス感染により責任の大きさを知る
【学校薬剤師のお仕事】
- 水道水の水質検査
生徒たちが使う水道水が適切に消毒されていることを検査
- 空気環境の検査
教室の中の温度や換気の状況を検査
- 照度の検査
教室内の蛍光灯の明るさを検査
- 給食室の衛生管理
大腸菌はいないか、整理整頓はされているかの検査
- ダニ検査
保健室のお布団、コンピューター室や放送室のカーペットにダニがいないかを検査
上記以外にも、生徒たちが適切な環境の下で生活できているかを確認する役割を担っています。
- 理科室の薬品管理検査
理科室には発火性のあるもの、有害性のある試薬、廃棄には一定の決まりが定められている薬品(有機溶媒など)があります。
災害時には学校が避難所になりますので、一般人が出入りしても持ち出したり触れられないように施錠されているか、などの観点から状況を確認します。
- 薬物乱用防止・未成年喫煙の危険性についての啓発
「ダメ、絶対」のアレです。薬物に手を染めたり、未成年の喫煙を防止するための講義を行います。
ドラッグが身体に与える影響についても、薬剤師の口から説明すると説得力があるとのことで、依頼があります。
ドラッグの社会的影響については、学校教員の方の方がしっかり教えてくださいます。
このような業務を、地域の薬剤師が任されているのです。
🐣まさか、このような仕事があるとは…
5年前まで知らなかったのです(私は薬剤師勤務歴10年目)
もちろん、世間の周知度はかなり低いでしょう。
少し前に放送されたドラマ「アンサングシンデレラ」でも紹介されていなかったお仕事の一つです。
特に問題なければ、1か月に1回の訪問で定められた検査を実施するだけなので、現職薬剤師の中でも従事していない方の方が多いです。
そもそも、学校の枠が空いていなければ学校薬剤師業務に携わることもできません。
【母校の担当になる】
私は3年前から、自分の出身校を担当しています。
私が現役中学生だったころ、社会科の一般教員だった先生が校長先生になられ、
時代の流れを感じました。
そして何より、その先生に【薬剤師になった自分】としてお会いするようになったことが感慨深かったです。
20年前、その社会科の先生が5の成績をつけてくれたから、
希望する高校へ進学することができ、
さらには大学へ進学し、薬剤師として仕事ができるようになっています。
社会科の恩師は、
当時の私のイメージからは文系の進路をたどると思っていたようで、
理系の人間になって再会したことはかなり驚いておられるようでした。
🐣先生、中3の2学期に社会科の成績を上げてくれてありがとう。
一生懸命勉強したので、心から嬉しかったです。
自信をもって高校受験に臨めました。
と感謝の言葉を伝えました。
ちょっとウルっと来ちゃったりして。
【新型コロナにより休校→再開時は大活躍】
とにかく、地味で誰の目にも触れないようなお仕事ですが、ついにその役割の重要性を実感する日が来ました。
緊急事態宣言(1回目)には公立学校が長期の休校になったのです。
さらに、授業再開の目途がたったとき、
学校薬剤師の出番がやってきたのです。
まさに、
- 教室内のの換気回数
- 消毒液の配置場所
- 消毒回数の規定
- 手洗い・うがいの啓発
- 給食時のソーシャルディスタンスの確保
- 水道水の適切な消毒
- 生徒の検温管理方法
などなど、多岐に渡る衛生管理のノウハウが求められました。
養護の先生からは毎日のように質問をいただきました。
「この消毒液は口に入っても大丈夫?」
「暑い時期でエアコンを使いたい、換気の回数と時間、方法を教えて下さい」
「給食はグループ分けをして、タイミングを分散して行います。何人ずつがいいと思いますか?」
「次亜塩素酸水の保管方法は?遮光でないとだめですか?」
などなど…
これはこれは、さぁ大変!
衛生薬学の知識とCOVID19の特徴を踏まえてアドバイスをする必要がでてきました。
そのころはまだ情報が錯綜しており、
プラスチックに付着したウィルスは3日生存するとか、しないとか。
抗ウィルス効果が認められている消毒液の種類も不確実。
正確な情報が乏しい時期だったので、
今までのインフルエンザ感染予防対策の発展バージョンで
マニュアル作りを実行しました。
なにより、体育の先生も数学の先生も音楽の先生も
必死の思いで、私と養護教諭の指示に従って、マニュアルを遂行してくれたのです。
微力ながら、協力できたことは本当に嬉しい限りです。
【緊張の授業再開】
そして、迎えた授業再開日。
生徒たちが家で過ごした時間が長く、
精神的なケアも必要なケースもあったようです。
それでも、登校日の朝、通勤途中で見かけた生徒たちが依然と同じように登校する姿をみて、ほっと胸を撫でおろしたのでした。
生徒たちはもちろん、そのようなやり取りがあったことは知る由もありません。
先生たちが必死の思いで、クラスター感染の予防に努めてくれたおかげで、
今日まで、クラスター感染が起きていないのです。
【まとめ】
誰にも知られず、ひっそりと後輩たちを見守る地域の先輩になった気持ちです。
20年前、こんなにも多くの大人に守られて、学校生活を送っていたことへの感謝と、
20年たった今、その恩返しが少しでもできていることに喜びを感じます。
まさに「アンサング(日の目を見ない・縁の下の)シンデレラ」になった私。
これだから仕事ってやめられないんだよね。